無常のさくら |
この家を建てた時に 記念樹として平安枝垂れ桜を植えました。
10年くらいは 木もヒョロッとして葉っぱばかりが目立ちました。
木は一気に成長せず じわじわ葉も花も付いて行くのですね。
さくらの色は濃いピンクで 道行く人が携帯で写していたことがよくありました。
何時の頃からか 目立たないようライトアップをして
駅からの帰り道 疲れたご近所の方にも見て頂くようにしました。
知らない人から「奥さん もう京都へ行かんでもええわ。よ~見せてもろうた」と
喜んでおられましたが 京都の桜は このような桜とはけた違いですね。
栄養が行き届いたのか 大きなさくらに成長しました。
どんな木も根が張りますが さくらの根っこは庭中に広がり
あちこちから新しい細い新木がニョロニョロと出て 切るのに往生しました。
両親がいた頃には 何故か少しの花実をつけるだけの桜でしたが
それでも心浮き立ち お日様を受けながら あれこれと昔話などを聞かせてくれました。
隣の愛ちゃんとは 一緒に桜を見ながらワインを楽しみ(私は飲めませんよ)
酔っぱらうと陽気になるので 得意な踊りをさせようと家での花見は特別でした。
息子とは庭で土遊びなどを存分にさせ お花も一緒に植えました。
庭でのこと 全てが思い出として過ぎ去りました。
不思議なことに さくらの花実がつき始めたのは父が逝き やがて母が逝き・・
その 翌年からパッと咲き始めたのです。
生前 母が「もっと花いっぱいに咲かせてくれたらいいのにね」とずっと話していましたが
この世を去ってから 咲くなんて・・・ 見せてあげたかった (涙)
家を買ってくださった方が 最後に言われた言葉は
「どんなことがあっても ご近所の皆さんが楽しみにされている
さくらを絶やさないよう しっかりと守って行きます」と・・・
思いも寄らぬ言葉だっただけに嬉しく いい方に住んでいただけることに感謝しました。
人の常 世の中は無常なれど 早咲きの枝垂れ桜は今が見頃かな?と
一人 はるか遠くから思いを巡らせています。
※ちなみに 京都「原谷苑」のさくらはこんな感じです。
京都市街よりも 数日遅れで咲き始めます。
自然のこんもりした小高い山に緑・黄・ピンクの花が一斉に咲き豪華絢爛そのものです。
これはH23年4月19日に撮りました。今年は早いかも知れないですね。