92歳 梅ちゃん先生 |
間もなく迎えるお誕生日のお祝いも兼ね ご自宅へ行って来ました。
目の前は明石海峡大橋とアウトレットのお店が並んでいます。
あいにくと 曇り空でぼんやりしています。
大小の船が通る度 「あれは何万トンくらい?」 「どこの船? 何を積んでいるの?」など
海や船が大好きな92歳の梅ちゃんは 少女のように目を輝かせ
これとばかりに 主人に女学生のように質問攻めでした。主人もよく知っているわ~
やっぱり海が専門で海が好きだったんだと 二人の会話を微笑ましく聞いていました。
私たちが住んでいる島で いま本土側にいることが不思議でなりませんでした。
長い説明にも飽きず 立ったままでずっと聞いておられました。
「ときは木の変はることなき緑もて 君に捧げむわが真心ぞ」
昭和18年10月22日 婚約者を乗せた粟田丸は撃沈され 婚約者は戦死・・・。
亡き夫への鎮魂と深い愛惜の想いが歌として溢れて逝く。
歌集 ときは木の愛を誓ひてという著書に書かれているように
愛は不滅…としか思えません。
前もって作っておいて下さった自家製山桃ジャムやチーズやオイルサーディン。
それと ご自身で作られたふっくら枯露柿も「これは蔗糖でなく果糖だからいいわよ~」
なんて 栄養学や全く分からない医学の話も興味をそそるようにお話して下さいました。
帰る頃には 殆ど全部食べてしまうくらいお洒落なおつまみで美味しかったです。
宗教や体罰・学校のことや今の教育などの話になりました。
突然質問が投げかけられ「貴女は人が死ねば どうなると思う?」と・・・
ひと言では答えにくい質問でしたが 私は「人は死して名を残す」と申しました。
梅ちゃんは今まで何度も多くの人に同じ質問をしてきたようです。
ある人は土になるとか 形が無くなるとか・・・
「貴女! 私は魂が残ると思うの・・・」と さらっと言われました。
「先生が今までなさってこられたことが 死して名を残し魂も残されていると思います」と
言ったものの 難しい課題が私に残されました。
ベランダにはサンチュ・バジル・クレソンが伸び青々していました。
3日に1回は買い物に出かけ 同区内を散歩されるとか
お話の中に生きるヒントが感じられ 意欲的な生き方に脱帽。
いったい 私は何をどうやって さ迷っているんだろうと情けなく思い
間もなく93歳と言うのに秘めたる底力を強く感じ パワーを頂いた気がしました。
お部屋を見渡すと元総理や今の総理からの感謝状が飾ってありお聞きすると
「こんなものどうってことないわ~まだ 貰って何枚もあるけれど
大学で勉学に優秀な学生が増えてくれるのを一番に望む」と話されていました。
お金にも執着せず慎ましやかな生活をされ 何事にも労力も惜しまない
梅ちゃん先生は 本当に豊かな心の持ち主だと思いました。
92歳とは思えない頭の冴えと心のこもった持て成しに感謝し
また お会いしましょうと別れましたが 1日があっという間に楽しく過ぎました。