マムシに咬まれた者同志・・・ |
膨れてパンパンになって行く片手を 何度も見ていた。
心電図検査(四肢単極誘導及び胸部誘導を含む最低12誘導)・・・??
こんなん着けて 大そうやな~
早く外して欲しいと思っていたら 退院前日まで装着。
ほんまに 重病患者みたいやな~と思った。
「〇〇さん 今年のマムシ患者2番目です!!」と
まるで とっても良いことがあった様にニコニコしながら話してくれた。
その言い方や屈託ない笑顔に いっぺんに看護師と通じあえたみたいで
違った気持ちで入院生活を過ごせると思った途端 緊張の糸がプッツン切れた。
2日目 同室に入れ替わりで来た虫垂炎の若妻が こっそり・・・
「前の部屋の人もマムシに咬まれたんやて・・・」と話してくれた。
個人情報保護のため 医師も看護師もそれはそれは口は堅く
その方がどの部屋にいるか 知らされなかった。
しかし 同室にいると面白い話ばかりをしてくれ 徐々にお互いの気心が知れてくると 何としてでもマムシ患者1番・2番目を会わせいと思ったのか 若いとあって行動は早かった。
「ご対面~」と言って お互いの手を見せ合った。
その方は15日の入院生活を終え 丁度 退院の準備をされていた処だった。
お互い左手で良かった!と言いあった。
何故 包帯をしているのか?と尋ねると 身をえぐられたとのこと。
農家でもないのに何処で咬まれたんだろう?
朝のうす暗い時 庭に出てポストに向かい新聞を手に取った処
ポトンと地面に落としたそうな~
その時 少し伸びた草に隠れていた何かが手に飛びついた様だったと・・・
その方は自宅からタクシーを飛ばして救命救急センターに来たらしいが
若い医師が「薬だけでいいでしょう~」と言った為
塗り薬を貰い いったん自宅に帰ったとのこと。
徐々に手が腫れ痛みも増し 5時間経った頃には我慢出来ず
再び病院へ来て 入院になったと・・・
私の様にヘビと分かれば 医師も細心の注意を払ったと思われるが
その方は 何が刺したのか咬んだのかも
暗やみで分からなかったことで 手当てが遅れた様だった。
えぐられた所を見せて貰うと 手の皮膚とは違って身が見え血が滲んでいた。
私は ついていたのかな?
主治医は「応急処置が良く 時間を置かずに病院へ来たことが幸いしたのか
運が良かった!」と何回も褒める様に言ってくれた。
勿論 軍手じゃなくガーデングローブをはめていたのも少しは軽かった様だ。
左は咬まれたばかりの私の手。 右は出合った方の手。
治療法や治っていく過程も 手に取る様によく分かり
こんな痛い目にあったのは 私だけではないと思い気丈になった。
会わせて貰ったことは大変プラスになり
前が見えてきたことで 食欲も衰えることなく旺盛~♪
大好きな豚のステーキに玉葱等を煮込んだケチャップ味が美味しかった。
今年の1番 2番目の私たちを引き合わせてくれた
同室の若い奥さんに感謝した。
その人のお蔭で 入院生活も退屈することなく
9時の消灯を過ぎても 暗くなった病室で話は延々と続き
明日も楽しい日が送れそうやな~と思いながら いつの間にか眠りに就いていた。